家族と一緒に未来を語ろう
約9割の人が「仕事や自己実現」と「家庭」のバランスに悩んでいる
未来を描き、一歩を踏み出そうとするとき、「家庭」や「家族」という単語が心に引っかかり、悩む人は多いのではないでしょうか。「海外で働きたい。でも、家族のことを考えると難しそう」「現地に赴いて地域貢献をしたい。その場合、子どものケアはどうすればいいんだろう」「今の職場でステップアップしてマネージャーを目指したい。しかし、夫の転勤の可能性がありそう」
このように、やりたいことがありながらも、どのように「家庭」とのバランスを図っていけばいいのか悩む人は多いのです。
実際にアンケート(※1)の結果からも、約9割の人が「仕事や自己実現」と「家庭」のバランスに悩んでいることがわかりました。
ここでは、「仕事や自己実現」も「家庭」も前向きに取り組むためのヒントを提示すると同時に、自分の将来のありたい姿をパートナーに共有し、家族としての共通ビジョンに向かうための実例をいくつか紹介します。
「仕事や自己実現」も「家庭」も長い目で前向きに考えよう
短期的に見ると、子どもが生まれた後は仕事や自分のやりたいことに制約がかかるように思えるかもしれません。
「私だけが時短勤務で仕事のキャリアをスローダウンしなくちゃいけないの?」「夫の方が収入が多いから、私が大半の家事・育児の面倒を見ないと」
このように夫婦のどちらかが自身の仕事のキャリアを犠牲にしなければいけないのでしょうか。長期的な視点で見ると、双方のキャリアの実現も家族時間の充実も実は可能であるかもしれません。
共働き夫婦のキャリアモデル
ここでは、家族としてのキャリア*を考えるための5つの夫婦モデル(アビバ・ウィッテンバーグ=コックス提唱※2)のうち、共働き夫婦が長期的なキャリアを描く上でのヒントとなる4つのモデルを紹介します。
*キャリア=以後、このページでは主に仕事のキャリアを意味する
1 リードキャリア
どちらかのキャリアの影響度が高く、家族がどこに住むかを決定づける。パートナーは、融通のきくフリーランスや場所を選ばないような職業キャリアを持っている。このモデルでは、一方が仕事に全面的に集中することが可能であり、高収入に繋がりやすいという利点がある。しかし、予期せぬ事態で収入がほぼなくなってしまうリスクもある。
2 交代型キャリア
「平等に機会を交替する」ことを選択する夫婦。どちらも昇進や異動・転勤する権利を持ち、パートナーはそれに合わせる。パートナーは転勤に必ずしも帯同するとは限らず、家族が離れて暮らしたり、一緒に暮らしていてもどちらかが長時間通勤している場合もある。しかし、あまりに固執し過ぎると少し「取引」のようになってしまう。「私の番」という意識が強すぎると、夫婦が目指しているバランスが崩れてしまうリスクもある。
3 並行型キャリア
「パワーカップル」と呼ばれるような、どちらとも非常に有能なキャリアを持っている夫婦。この夫婦は自身のネットワークや知識によってお互いを補強し合っている。仕事の話をするのが好きで、互いに学び合っている。しかし、このような夫婦においては、たいていの場合、家族に犠牲が及ぶリスクがある。子どもは十分な関心を払ってもらえないのだ。また、地理的な移動がますます難しくなるという問題もある。パートナーが担っている上級職は、転勤や他の場所での再現が必ずしも容易ではない。
4 補完型キャリア
多様なキャリアを持つ夫婦。互いに全く異なるキャリアで異なったキャリアフェーズ、繁忙期やタイムスケジュールが異なり、生活をうまく回しやすい。年間あるいは人生の段階において、両者の大変な時期が重ならないため、やりやすくなるのだ。これは、さまざまな職業にあてはまる。もう1つの利点は、特に昇進のペースなど類似したキャリアを持つ場合に生じうる争いを避けることができることだ。仕事の性質が違うので、成功の基準やサイクルが異なり、うまくいく可能性が高い。
いかがでしょうか。どのように家族としてキャリアを実現していくのか、少しイメージを持つことができたでしょうか。
どのモデルが正しいということはありません。人生100年時代、働く期間も長期化する中、ひとつのモデルから別のモデルに変わることもあるでしょう。あなたとあなたの家族で思い描くことができ、納得し合えること、それが最も大切なのです。
自分のありたい姿に向けて、パートナーと話し合うことが大切
自分の目指す姿と家族のありたい姿を描けたら、是非パートナーにそれを共有して、すり合わせしてみましょう。夫婦で家族共通のビジョンを持って歩むことはとてもワクワクすることです。
アンケート(※1)によると、半数以上の人が、育休後の自分のありたい姿の実現について家族と向き合って話し合う場を設けていました。とはいっても、「話し合うことの重要性はわかったけれど、なかなか一歩を踏み出すのが難しい」「どうやって話を切り出したらいいの?」そう感じている人も少なくはないのではないでしょうか。
以下では、パートナーと向き合って話し合っている2人の例を紹介します。
いかがでしたか?
みなさんもパートナーと一緒に、家族の未来を考えてみてくださいね。
(記事担当:きーちゃん)
(※1) 2020年12月『IKUMICHI』Webアンケート/有効回答人数:133人/対象:育休者/経験者
(※2)HBR.ORG:Being a Two-Career Couple Requires a Long-Term Plan, February 26, 2018.
https://hbr.org/2018/02/being-a-two-career-couple-requires-a-long-term-plan